弘前大学医学部、対馬栄輝(つしまえいき)氏 より(2003年春に引用)
組織の修復過程>組織の特徴と回復期間>腱
治癒過程は確定できる知見が未だ無い。腱癒合と周囲組織との癒着を防止して滑走機能を残すことが重要。
腱鞘内の腱は非常に血行に粗(パラテノンを有する腱は血行に富む)。腱自体に再生能力はないと考えられている。→腱癒着防止のため周囲を覆ったり,早期から動かすと血行を受けることができなくなり,壊死する。
◎ 治癒過程
@受傷〜3週−再断裂の起こりやすい時期
A3〜4週−腱断面に繊維細胞及び繊維芽細胞の増殖が著しく,腱の抗張力も強くなる。他動運動はこの時期から徐々に始める。小児の場合は,更に1w程遅らせる場合もある。
B5〜6週−癒合はほぼ完成。新生組織は正常腱組織ではなく瘢痕組織である。
例:アキレス腱断裂の固定期間は,保存療法では5〜8週が一般的。足自然下垂位で断端接触が得られる。腓腹筋の機能不全や再断裂の起こる可能性があるので,8週とする場合も多い。観血的治療の場合,一般に固定3〜4週,全荷重5週,軽いスポーツ10週といった具合。スポーツ復帰には5M程度かかる。double
looped suture法の場合,固定期間は設けないという特殊な例もある。
◎ アキレス腱断裂−手術か保存か?
手術例−筋力回復:健側比83.3〜84.9%(この回復には1年程度要する)
保存例−筋力回復:64.5〜75.0% (Shields,1978)
手術例−再断裂:4%
保存例−再断裂:8%
(Nistor,1981)
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